かつては、水環境の汚染の原因は工場からの排水がほとんどでした。 けれども最近になって、家庭のキッチンなどから出る生活排水の方が、より深刻な汚染源といわれています。 排水口に何気なく流したジュースなどの飲み残し、洗剤、シャンプー、リンスといった生活排水の中には、環境に悪影響を及ぼす有機物や化学物質が含まれています。これらの生活排水を処理するためには、より多くの水を使わなくてはなりません。 地域によっては下水の処理設備が不十分で、生活排水がそのまま河川に流されていることもあります。すると有機物や窒素やリンまで河川に直接流れ込み、水環境を悪化させてしまう原因になってしまいます。 汚染された水源を水道水にするためには、塩素を使って浄化・殺菌を行いますが、この時にトリハロメタンという発がん性の物質が生成されることも指摘されています。 水環境の汚染は、私たちの健康にも大きく関わっている問題なのです。
どれ位の水が必要?キッチンの汚水処理
排水口から流れた汚水は、下水処理場でどれ位の水を使って処理されるのかを下にまとめました。
調味料
品目 | マヨネーズ | しょう油(濃い口) | 天ぷら油(廃油) |
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量 | 大さじ1杯15ml | 大さじ1杯15ml | 500ml |
浴槽何杯(分) | 13杯 | 1.7杯 | 560杯(※) |
嗜好品
品目 | コーラ | オレンジ100%ジュース | ビール |
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量 | コップ1杯180ml | コップ1杯180ml | コップ1杯180ml |
浴槽何杯(分) | 9.5杯 | 8.6杯 | 2.5杯 |
調理品
品目 | みそ汁(具なし) | 煮物汁(肉じゃが) | おでん汁 |
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量 | お椀1杯200ml | 鉢100ml | お椀1杯200ml |
浴槽何杯(分) | 2.5杯 | 3.5杯 | 2.8杯 |
調理品
品目 | シャンプー | 台所洗剤 | 洗濯用合成洗剤(粉末)無りん |
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量 | 1回分6ml | 1g | 1回30g/5kg洗濯機 |
浴槽何杯(分) | 1.6杯 | 0.5杯 | 6.7杯 |
(東京都環境局資料より作成。ただし(※)は国立環境研究所資料より)
なるべく水を汚さないエコアイデア
●ジュースなどの飲み物は最後まで飲みきる
ジュースやビールなどの飲み残しに含まれる有機物をキレイに処理して河川に流すためには大量の水が必要です。 コップの最後に残った一口分のオレンジジュースであっても、処理に使われる水の量は1.5Lのペットボトル約200本分です。飲み物はきちんと飲みきるか、最初から適量をコップに注ぐようにしましょう。
●使い終わった油を下水に流さない
使い終わった油を排水口に直接流し込むと、配水管の悪臭や詰まりの原因となるだけでなく、水環境の汚染にもつながります。 廃油は新聞紙でしっかり吸わせるか、または固めるタイプの油処理剤を使って燃えるゴミに出しましょう。油と混ぜて液体のまま排水口に流すタイプの油処理剤もありますが、これは油を直接流し込むのと同じことで、環境に良いものとはいえません。油がベットリついた皿も、汚れを拭き取ってから洗うようにすると排水口に油が流れず、洗剤の量も少なくて済むのでお得ですよ。
●野菜クズなどを下水に流さない
調理で発生する野菜クズも、排水口に流れてしまえば河川の水を汚す原因となります。 排水口や三角コーナーにネットを設置する、目の細かい水切りを使うなどの工夫をして、細かい野菜クズが排水口に侵入するのを防ぎましょう。
●台所洗剤の量を控える
台所洗剤は、食器にこびりついた汚れをサッと落としてくれる優れものですが、環境の面から見ると水を汚してしまう原因の一つです。 食器を洗う時に「ため洗い」や洗剤不要のスポンジを使うなどして、台所洗剤の使用量を減らすようにしてください。
●家の中の汚れは、こまめに雑巾で拭き取るようにする
ちょっとした汚れなら、水を絞った雑巾で拭き取るだけでキレイになりますが、汚れがこびりつくと強力な合成洗剤などが必要になり、水環境を悪化させてしまう原因になってしまいます。 家の中で汚れを見つけたら、こまめに雑巾で拭き取るようにすれば洗剤の使用量を減らすことができます。
●キャンプやバーベキューの時も気をつけて!
屋外のキャンプやバーベキューの時に使用した後の食器は、現地で軽く汚れを拭き取ってから、家に持ち帰って汚れを洗い落とします。 油まみれの食器や鉄板を河川で洗うのは、水環境を汚す原因となるので絶対に避けてください。現地でなるべくゴミを出さないように、食材は事前に家庭でカットしておいて、必要な分量だけ現地に持ち込むと良いでしょう。