「建材」とは、床材(フローリング、畳など)、壁材、壁紙、塗料といった家づくりの材料を指します。
地球に優しい最もエコな建材といえば「木材」が挙げられます。金属などのほかの建材と比較すると木材はメンテナンスが大変というイメージがありますが、言い換えると、メンテナンスフリーの建材は腐りにくく、ゴミとなって環境に影響を及ぼす恐れがあります。その点、木材は役目が終われば土に帰るため環境に負担をかけません。
木材の中でも、原木を直接切り出した「無垢材」は周囲の温度の影響を受けにくいので、夏は涼しく、冬は暖かい住環境をつくりだす効果にすぐれています。さらに人体に影響を与える化学物質を含んでいないのも「無垢材」の特長です。
建材の材質によっては、施工性やメンテナンス性を高めるために有害な化学物質が含まれていることがあります。新築やリフォームしたばかりの住まいは建材屋内装材から放熱された化学物質が空気中に漂っており、この空気を吸い込むことで、「シックハウス症候群」といって頭痛、めまい、吐き気、喉の痛みといった体の不調が現れることがあります。
このため国土交通省は2003年に建築基準法を改正し、ホルムアルデヒドという化学物質の使用量を制限するようにしました。現在では、厚生労働省によってホルムアルデヒドをはじめとする全13種類の有害な化学物質の室内濃度の指針値が示されています。
家づくりの建材を選ぶ時は、これらの有害な化学物質の使用ができるだけ少ないものを選ぶと良いでしょう。
住宅に使われる主な化学物質と室内濃度の指針値
物質名 | 室内濃度の指針値(これ以上は有害) | 主な発生源 |
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ホルムアルデヒド | 0.1mg/m³(0.08ppm) | 接着剤、下地剤、防腐剤、家具、号場 |
アセトアルデヒド | 48μg/m³(0.03ppm) | 接着剤、防腐剤 |
トルエン | 0.26mg/m³(0.07ppm) | 接着剤、可塑剤、塗料の溶剤、家具 |
キシレン | 0.87mg/m³(0.20ppm) | 接着剤、可塑剤、塗料の溶剤、家具 |
エチルベンゼン | 3.8mg/m³(0.88ppm) | 接着剤、塗料の溶剤、家具 |
スチレン | 0.22mg/m³(0.05ppm) | 断熱材、樹脂、樹脂塗料、畳 |
パラジクロロベンゼン | 0.24mg/m³(0.04ppm) | 防虫剤、芳香剤 |
テトラデカン | 0.33mg/m³(0.04ppm) | 溶剤 |
クロルピリホス | 1μg/m³(0.07ppb)、小児の場合0.1μg/m³(0.007ppb) | 防蟻剤 |
フェノブカルブ | 33μg/m³(3.8ppb) | 殺虫剤、防蟻剤 |
ダイアジノン | 0.29μg/m³(0.02ppb) | 防蟻剤 |
フタル酸ジ-n-ブチル | 0.22mg/m³(0.02ppm) | 可塑剤、ビニール床シート |
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル | 0.12mg/m³(7.6ppb) | 可塑剤 |
住まいの建材は、ホルムアルデヒド放散量の少ないものを
ホルムアルデヒドは家具や内装の下地剤などに使われていますが、この化学物質には、粘膜を刺激して咳、くしゃみ、よだれ、涙などを引き起こす毒性をもっています。そのためホルムアルデヒドを放散するおそれのある建材には、Fから始まる星(☆)の数で「F☆☆☆☆」「F☆☆☆」(Fはホルムアルデヒドの独語の頭文字)といったように、放散量を示すよう義務づけられています。
ホルムアルデヒドの放散が最も少ないマークは「F☆☆☆☆」で、☆の数が少ないほど放散量が多くなり、使用面積も制限されます。ですから、建材などを選ぶ時はなるべく「F☆☆☆」のものや、ホルムアルデヒドの放散がない無垢材などを選ぶようにします。
身近なアイテムを使って化学物質対策!
有害な化学物質は、建材だけではなく家具、カーテン、カーペットなど室内のあちこちから放散されています。
これらの化学物質が室内にこもるとシックハウス症候群にかかるおそれがあるため、日ごろから十分に換気をする必要があります。換気のほかには、化学物質の除去機能がついている空気清浄機を設置する方法がおすすめ。家電量販店やネットでさまざまな種類の空気清浄機が販売されているので、部屋の広さなどに応じて取り入れてみてください。空気清浄機のフィルターはこまめに取り替えるのも忘れないようにしましょう。
また、植物には化学物質を吸収分解する働きがあるので、観葉植物を部屋に飾るのも良いですね。特にゴムノキ、ベンジャミン、イングリッシュアイビー、ゴールデンポトス、アマリリスなどは化学物質の吸収率にすぐれているといわれています。